一般的にひじを表現するのに必要なポリゴン数は?

 ● ひじ関節を1ラインで表現         ● ひじ関節を3重ラインで表現
■ 一般的にひじ関節をそれなりに表現するために必要なポリゴンはどれくらいでしょう。

左のひじは関節を1本のラインで作成してあります。

右のびしは前後計3本のラインで作成してあります。

腕を伸ばしているときは共に同じ形状をしていることにご注目下さい。
この状態ですとひじ関節は無理にポリゴン数を増やす必要性はありませんね。

■黄色いポイントがひじ関節ですので、その中央で45度に回転させてみました。

左のオブジェクトの形状は明らかに変です。

■これにサブパッチを当ててみました。

左のオブジェクトでは当然ポイントの引き付けがあり、ひじは大きく丸くなってしまっています。

右のオブジェクトでもひじは丸くなっていますが、左ほどはポリゴンゲージの内側にまで食い込んではいません。

■では、黄色いポイントを45度のままXZ軸方向に伸ばし、修正を行ってみましょう。
つまり、ひじ関節のポイントを45度回転させ、その対角線上に伸ばして、みかけ上ひじを曲げたように見えるようにしてみました。

ポリゴンのままですとどちらもそれなりに見えますね。

 

 

 

ちなみに、Baji's Boneではこのような形状になるよう設計をしています。

■これにサブパッチを当ててみましょう。

左のオブジェクトはポリゴンの時はそれなりに見えましたが、サブパッチをかけると大きく曲がり、とてもひじには見えません。

これはサブパッチが1ポリゴンを定数で均等分割をするためです。
つまり二つのポリゴンでL字を作成した場合、線分ABCの三点をレベル3でサブパッチを行うと結論的にBはACに引き付けられた上に線分はABC間で均等に6分割されてしまい、結果として丸い線分になってしまうのです。
(実際にはもう少し複雑です)

ではもっと曲げてみたらどうでしょう。結果はさらに歪なものになってしまいます。では、以下のような方法にすればひじ関節は1ラインても可能でしょうか?

■ ひじのポイントを下のようにポイントをさらに大きく動かしてみました。するとなんとなく良くなったように見えますね。
□ よく見てください。腕の長さがずいぶんと短くなってはいませんか?
この構造ですと、サブパッチの機能上、どうしても腕は曲げる角度に応じて短くなってしまいます。

■ ひじの回転角に応じて伸縮する専用プログラムを作る。
□ 現実的ではありません。
理由はこのサンプルでは分かりやすくするために直線で作成してありますが、実際に少しでもひじの中心からずれたり、あるいは直線でなかったりした場合、ポイントはばらばらな配置へ変形させなければならず、それを特定のプログラムでコントロールすることは絶対的に無理だからです。

逆に特定のプログラムではなく、ボーンであればそれらの複雑な変形を可能とします。Baji's Boneはまさにその変形を行うよう設計してあります。
上記1ラインの4番5番目の形状と比較

初歩的な数学から

■曲げると細くなるひじ
右の図ようにひじ関節が1ラインのポリゴンであった場合。関節を120度回転させると以下ののようになります。
まず通常に回転をおこなうだけですとひじ部分は腕の断面積を大きく縮小させることになります。(左上)

これを是正するためにひじのポイントを対角線上で伸張させることによって腕の断面積を維持するとします。
このときこれらのポイントは2倍の大きさになりますが、この倍率は回転角に応じて累乗に変化します。
通常ひじ関節は140度とされていますのでこのときの倍率は、三角関数を覚えている方は自分で考えてください。(あはははは)

■曲げると腕が短くなるゴムホース関節
このように1ラインの関節でもサブパッチ化しなければポイントを動かすことによってそれらしくすることは可能です。
しかし、サブパッチをおこなうのであれば、左の図のように角は作成されずにゴムホースのようにしかなりません。
さらに付け加えるなら、サブパッチ化することによりひじ関節部分は両端に引っ張られ、結果として腕は短くなってしまいます。

したがって、サブパッチの理論に従いひじ関節には2重ないし3重のポリゴンラインが必要となるわけです。
もちろん、高品質な関節再現を望まないのであれば、まったく不要な技術です。

少数ポリゴンでひじ関節を作成する最大の問題点。

一箇所で接合され作成されたひじ関節では、ひじの形状を維持できないばかりか、関節を曲げた際に出来るシワの表現、さらには大きく曲げた際の食い込みも理論的に再現できず、結果としてひじ関節らしく見せることは不可能です。

【注意】
なお、このページにあるデータはすべてモデラーでのことです。したがってBaji's Boneとは直接関係はありません。
さらに関節に複数のポリゴンを配置しないとそれなりの形状を維持できないというのはBaji's Boneにおけるローカルルールではありません。