ラジオシティの簡単な使い方
ラジオシティは上手に使えば大変便利なツールです。特にLight Waveのラジオシティは非常に高速ですので、とても重宝する…かもしれません。
ラジオシティとは要するに全面ライトです。発光しないオブジェクトとオブジェクトの間部分は暗くなりますが、それ以外の部分に暗黒は存在しません。光線にかんしては使い方次第でフォトリアルな画像を上げることができますが、一方でクオリティを上げるほどにレンダリング時間がかかります。 そこで、面ライトを使用せず、強い光線と共存することで、そこそこのリアルと早いレンダリングを両立させた使い勝手の良い方法を紹介いたします。 もっとも、私自身はあまりラジオシティを使用したこともなく、詳しくもありません。 |
まず、あらかじめ半球ドームを空にみたてて置きます。このとき重要なことはディフューズは0%で自己発光を晴天であれば100%などにします。当然のことですが、サーフェイス面はちゃんと反転しておきましょう。 それと別に背景が必要であればそれも別オブジェクトとして配置します。サイズなどはどうでも良いのですが、点ライトであればそれなりの大きさにします。 なお、室内であれば壁面と天井を作っていれば大丈夫です。 |
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ラジオシティに適した状況
●室内や弱い日差しの屋外。 ●オブジェクトがシンプル。(計算が軽い) |
ラジオシティに適していない状況
●強い照明や、強い日差し。 |
上記設定から言えば、サンプルは夏の海ですので、日差しが強くラジオシティにはまったく適していません。(おまけに砂浜にバンプが…) しかし、逆にこの状況下ではラジオシティは非常に軽く動きます。 しかも、ちゃんと望む表現力は発揮してくれるのです。今回はこの長所を考察してみたいと思います。 |
■通常の照明 ■ラジオシティ ■ラジオシィ+フォグ ■ライトなしラジオシティ
まずは通常のライティング。
太陽の70%のみをレイトレーシングとして、以下6灯は影なしです。 |
■通常の照明 ■ラジオシティ ■ラジオシィ+フォグ ■ライトなしラジオシティ
ラジオシティは多くの間接光を使用しますので、基本的には1灯照明です。
太陽を70%のレイトレーシングにします。当然通常のレンダリングではこのように暗くなります。 なお、顔と目のアイキャッチ用に影なしのピンスポットを距離の2乗で20%、同様に遠くの砂浜用に点ライトを40%(ただし、このライトは砂浜以外には影も光も影響を与えないようにライトのプロパティで設定しています。) |
ラジオシティでレンダリング。 めったやたらに明るくなりました。 これは空の「自己発光100%」の光を受けているからです。 設定は細かい設定の出来る「補間」です。 ●評価毎の光線とは要するに光のサンプリングの方向の数のことで、分かりやすく言えばボールポリゴンの作成と同じく、ポリゴン数が多いほど良く曲線が描けるように、レンダリングでもきれいなグラデーションが再現できるという意味ですね。 ●許容誤差は通常0.3より小さくします。 ●最小評価間隔は細かい部分において、お互いが光の干渉をする最小条件を設定するものです。 これらはすべて精度を上げるほどレンダリング時間が驚異的に延びますので、露出を探し出すまでは低く設定をしましょう。 |
==== 気をつけること ==== 露出が決まるまではノイズ除去を含め、設定を低くする。 ×環境光の明るさ ×面ライト ラジオシティはその性質上見えない部分も計算します。ですから見えない部分に複雑なオブジェクトがあると計算は不必要に多くなります。 暗い部分ほどノイズが出ます。 |
世の中は厳密には点ライトなどは存在しません。 太陽に面積がある以上平行光線もありません。 これを再現するにはどうしても面ライトを使用することになるのですが、ただでさえ計算時間がたっぷりとかかる面ライトです。ラジオシティだとその時間たるや大変なものです。(涙、涙)どうせ大変ならラジオシティの方が照明自体はとても簡単です。これからは状況によって多用しようかとも思っております。 |
空の明るさを受けるのがラジオシティの特徴ですが、空の明るさは均等ではありません。 また、リアルを追求して空にテクスチャを貼るのも良いかもしれませんが、それですと青空の場合受ける光線は青みががってしまいます。日中であれば白で良いとは思いますが、空が均一な明るさということはありえません。 そこで、サーフェイスにグラディエントをしようして地平線付近を50%くらいの明るさにしたのがこれです。 通常のライトとの違いはオブジェクトが重なった部分では光が届かず自然な影が発生することです。 このクオリティがわずか1分で出来ます。ラジオシティが時間がかかるという常識が消えた瞬間です。(あはははは)(汗、汗。) |
このままでは空気感がありませんのでフォグ設定をします。 本当は空気感というくらいなのですから、被写体まではある程度の距離と、比較対照となる遠くの物体が必要となります。でも35mmの広角レンズでのアップでは空気感は出ません。このサンプルは最低ですね。(汗、汗。) なお、これにカメラの被写界深度を合わせたものが右の完成品となります。 ■空気感 |
ちなみに、ラジオシティでは反射率も露出に関係します。
砂浜の反射率を0%にしてみました。 被写体の影の部分が不自然に暗くなってしまいました。砂浜の反射率35%と比較してみて下さい。 |
照明をすべて0にし、空の自己発光を150%にしてみました。
フレビューとはいえ、ひどい影がでまくっています。 |
とりあえず、ラジオシティのクオリティを上げてみました。
また、砂浜の35%の反射を有効にするために間接反射を2にしています。 ワンパスでまだ影がきれいではありませんが、こんな感じにしあがります。 ちなみに、面ライトを使用(評価毎8、反射1、許容0.1、最小10mm)すると8パスでも約3時間もかかりました。 一方で、精度を上げて長時間レンダリングをするくらいなら、いっそ手早く仕上げて、フォトレタッチで修正した方が楽かもしれません。それとどこまで小さくしてもどうしても理論的にこのようなエラーはでます。 |